取扱事件 | 東京法律事務所

その他民事事件

建築紛争

建築紛争

建築をめぐる主な紛争には、次のようなものがあります。

○ 欠陥住宅の問題
○ 建築工事により生じる問題
○ 日照被害

建売住宅・中古住宅や注文住宅に瑕疵があったとき(欠陥住宅)

雨漏りがする、床に傾斜がある、柱が少し斜めになっている、建て付けが悪い、地盤がゆがんでいるなど、建物に不具合がある時は、原則として、損害賠償を請求できます。
注文住宅や建売住宅などでは、補修を請求することもできます。
注文住宅の場合、建築業者は、構造耐力上の主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があったときは、引き渡しから10年間、補修や損害賠償の責任を負います(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。ただし、瑕疵を知ったときから1年以内に請求する必要があります。建売の場合も、ほぼ同様です。なお、10年間は長すぎるということで、契約書で短くすることは出来ません。「構造耐力上の主要な部分や雨水の浸入を防止する部分」というのは、基礎、壁、柱、筋かい、床板、梁、けた、屋根瓦、サッシ、壁の下地防水などです。
 中古住宅の場合は、「隠れたる瑕疵」なのかどうか問題になりますので、購入するときに、十分に説明を受けることが大切です。売主は瑕疵があるときは、瑕疵のあることを説明しておかないと後に責任を追及されることがあります。

建築によって近隣住民の建物などに損傷をきたしたとき

建築工事は、既存建物の解体や地盤の掘削を伴うことが多く、そうした場合は、近隣の家屋や敷地に損傷を来すことがあります。物が棚から落ちて割れたりすることもあります。
こうした場合は、その工事を行った業者は近隣住宅の所有者に賠償責任を負います。問題は、建築工事と近隣住宅の損傷とが因果関係があるかどうかです。近隣建物が古いと、何かしら建物には損傷を来していることがあり(壁や柱のヒビ割れ、床のきしみや傾き、建て付けの隙間など)これを立証するのは、工事の前と後に、きちんとした建物調査をしておくことが重要です。
多くの建設会社では、事前の建物チェックを行います。但し、これは外から目視するだけで終わっている場合もありますので、家のなかの柱や壁の状態、床の傾き、土台に不安があるときは、土台・基礎の状態などをきちんと調べておいてもらうことが必要です。地盤が軟らかい土地のときは、ボーリング調査などもしてもらいます。
もしも検査をしてくれないときは、すぐに弁護士や行政などに相談し、要求してもらいましょう。なお、家屋調査が終わったら、ボーリング検査の結果や家屋調査の結果を書いた書類をもらってください。
 工事中は、振動が激しい日には、工事現場に異議を述べて話し合いをするなどし、必要なら区役所や市役所の担当者に振動の程度を測定してもらうこともします。

ビルが建って日影になる場合(日照被害)

家の前に高い建物の建築が予定されて、日影になってしまうということがあります。日照は人が生活するのにすごく大切で、これをまったく日影にされたのではかないません。多くは、近隣の何軒もの家が多かれ少なかれ日影になるので、近隣居住者全体の問題でもあります。
こうした場合は、日照がどの程度遮られるかが問題になり、その程度如何によって、損害賠償請求ができたり、建物の建築差し止めができたりします。
これは地域によって異なります。駅前の商店街(商業地域)や高層建築街では、日照はあまり重視されません。都市部の郊外など住宅が多いところでは、人が居住するための地域として日照は重視されます。この地域によって、どの程度の日照を保護するかの最低限を決めたのが、建築基準法にもとづく日影規制条例です。商業系の地域や住宅系の地域をわけて基準値を決めています。これに合致したからといってすべて建築が認められるとは限りません。建築は認められても賠償(日影補償)をしなければならないこともあります。
近隣住民がまとまって説明会を求め、また運動をすることもしばしば見られます。建築の中止を求めて訴訟を起こすこともあります。建築する側も、いたずらに反発することなく、きちんと説明会を開き、建物の設計変更や補償に誠意を尽くす必要があります。



執筆者:弁護士 柳沢 尚武

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