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成年後見-後見監督人がついたら・・・

成年後見-後見監督人がついたら・・・

 実家で一人暮らしをしていた母の認知症が進み、利用していた信用金庫の勧めもあって成年後見の申立をしました。後見人は弟や妹は対応できないとのことなので私がやることにして申し立てたところ、家庭裁判所の面接で弁護士の後見監督人がつくことになると言われました。今後、何か面倒な手続きが必要になるのでしょうか。

回答

回答者: 弁護士 滝沢 香


 後見人になると、就任直後と一年ごとに家庭裁判所に対しお母様の財産に関する報告書と通帳の写しなどを付した財産目録の提出を行います。後見人を監督するのは本来家庭裁判所の役割で、後見人が提出した報告書等をチェックします。ただし場合によっては、監督人にその監督業務を行わせることになります。

■ 後見監督人がつく場合
 成年後見の申立て時に被後見人の財産の額や種類が多い場合は弁護士や司法書士などの専門職が監督人に選任されることがあります。後見人が付いたのちに、不動産の売却や保険金を受領するなどして財産が多額になった場合にも、監督人が選任される場合があります。
また、金融資産が多額な場合には、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を超える金銭について払戻に家庭裁判所の指示書を要する後見支援預金や後見制度支援信託の利用を促される場合があります。

■ 監督人がついた場合の対応
 監督人が選任されている場合、後見開始の審判が確定した後に、速やかに監督人と面接し、今後の後見業務の進め方等について話し合います。家庭裁判所への報告は一年ごとですが、監督人との間では、半年ごとに財産目録や通帳のコピーの提出を指示される場合があります。一年ごとに家庭裁判所に提出する報告書についても監督人に提出をします。
 監督人からは提出された報告書や財産目録について、さらに問い合わせや資料の提出を求められる場合もあります。
 監督人が選任されている場合には監督人についても一年ごとに報酬の審判がなされます。
また、監督人がついている場合には、不動産の売買などの重要な財産の処分等、訴訟を起こすことや和解すること、相続の承認・放棄や遺産分割、改築や大修繕など、一定の行為については監督人の同意を得る必要があります(民法一三条一項・八六四条)。監督人の同意を得ずに行うと後に監督人から取り消しを促される場合があります。
監督人がつくということで煩わしく感じるかもしれません。しかし、後見業務は多岐にわたり、裁判所への提出書類の作成が慣れるまで大変だったり、判断に迷う場合などもあると思います。監督人には相談をしたり助言を得ることもできますので、適切に後見業務を行っていくのがよいでしょう。

(2020年11月記)

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