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地価が上昇〜地代の値上げは仕方ない?

地価が上昇〜地代の値上げは仕方ない?

借地に家を建てて住んでいます。平成22年に契約更新する際、地主に言われるまま地代を月額1万4000円から1万5000円にしました。ところが今年、また地主が固定資産税等及び地価の上昇を理由に地代を2万円に増額すると言ってきました。この増額はやむを得ないのでしょうか。(Aさん)

回答

回答者: 弁護士 大竹 寿幸


大竹 地主は、固定資産税や地価がどれくらい上昇したと言っているのですか。
Aさん  固定資産税等は昨年が3万6000円だったのが4万2000円に上昇し、23区内の住宅地の公示地価が昨年と比較して3%上昇で、東京は4年連続上昇したと言っています。

大竹 租税公課の増減、地価の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動、または近隣類似の地代に比較して不相当となったときは、地主は地代増額を、借地人は地代減額を請求することができます(借地借家法11条1項)。地代をいくらにするかは地主と借地人との契約によって決まりますので、話し合いによって地代を決めることはできます。話し合いで決まらないときは裁判所の調停・訴訟で決めることになります。

■ 相当な地代とは?
 問題は相当な地代はいくらかですが、地代算定方法としては利回り法、物価スライド法など様々あり、複数の方法を利用して総合的に算定することもありますので、相当地代といってもある程度の幅のある金額となります。なお、地代の受領を拒否された場合の供託額について、公租公課(固定資産税と都市計画税)より低額だと借地人が知っていた場合は相当地代の支払いと認めないとの判決があります(最高裁平成8年7月12日)。供託の額は公租公課額の2〜3倍程度がよくある例です。

■ 考慮すべき諸事情
 本件では、仮に固定資産税等の上昇分6000円を地代に上乗せするとしても月額500円にしかなりません。公示地価が前年より3%上昇しても、地域によって地価の増減は異なるため、東京や23区の事情をそのまま利用することは妥当ではありませんし、平成22年からの地価推移も考慮すべきです。また、長期間にわたって土地を借りているという事情は、地代改定の際に考慮しなければならないため、現行地代から30%以上増額することは不相当です。
地主が長期契約関係にあるとの事情を考慮しない新規設定地代を相当地代だと言ってくる場合がありますので注意が必要です。

(2017年9月記)

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