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事件紹介

労災受給中も解雇可能――専修大学事件で最高裁不当判決(小部弁護士、山添弁護士担当)

最高裁は、6月8日、労働災害により休業中の労働者についても、一定の補償金を支払うことで解雇が可能だとする判決を言い渡しました。

この事件は、専修大学の職員だった男性(40歳)が入試業務の激化などにより頸肩腕症候群を発症。労働基準監督署が労災と認定し、治療を継続し、大学にリハビリ就労を求めていました。労災による休業中は、労働者が療養に専念できるようにするため、解雇が禁止されています(労働基準法19条)。例外的に、使用者が3年を超えて災害補償を行い、かつ、打切補償金を支払えば解雇が可能ですが、これまで厚生労働省は、労災保険により補償されている場合には打切補償を支払っても解雇はできないとしてきました。

本判決により、使用者は、労災保険によって自らは経済的に負担せず、療養が長期化している労働者の雇用を維持する責任をも免れることになります。うつ病など、長期の療養を要する疾患のため休業している労働者を解雇できる場合が拡大することになりかねない、重大な判決です。

本件は、解雇権の濫用があったかどうかを審理するため東京高裁に破棄・差戻しとなっています。

当事務所の小部正治弁護士、山添拓弁護士が担当しています。

以下に、判決当日の声明文を掲載します。

声 明
「専修大学労災患者解雇事件」最高裁不当判決を糾弾する

(1)本日、最高裁第二小法廷は、学校法人専修大学(上告人)が業務上の傷病による療養のため休業中である被上告人に対し行った2011年10月31日付の解雇(以下「本件解雇」)について、これを違法・無効とした高裁判決を破棄し、打切補償を支払った解雇が有効となり得るとして東京高裁に差戻す判決を言い渡した。
 判決は、労働基準法が明文で禁止する解雇を容認し、使用者が自ら災害補償責任を果たしていない場合にまで打切補償を支払った解雇が認められる場合を大幅に拡大するものである。法令を順守すべき司法の立場を放棄し、歴史を逆行させる不当判決であり、満腔の怒りを持って抗議するものである。
 同時に私たちは、本件解雇を絶対に許さず、差戻し後の控訴審における勝利に向けて全力を傾けて奮闘することをここに決意を込めて宣言するものである。

(2)そもそも本件は、専修大学が、被上告人に過重な業務を課すなかで、頸肩腕症候群という職業病を発症させ、被上告人が療養のため休業を余儀なくされたことが発端である。ところが専修大学は、一貫して被上告人の労災申請を妨害し、被上告人を職場外に排除しようと退職強要や解雇通告など不当な仕打ちを繰り返した。主治医や産業医が認めたリハビリ勤務を拒否し続け、中央労働基準監督署が指導し、是正勧告をしたにもかかわらず、本件解雇を強行したのである。その挙げ句、専修大学は、行政が違法と指摘し、労働組合や患者会などによる広範な抗議が寄せられるなか、本件解雇を正当化するため「地位不存在確認訴訟」を提起するに至ったものである。
 被上告人は、長期にわたって休業を強いられてきたが、安心して療養に専念できたことはないに等しい。それどころか、常に雇用の不安を抱え、裁判を係争しなければならないという過大なストレスを負わされ続けている。この専修大学の一連の対応こそが、被上告人の傷病の長期化をもたらしている。

(3)本日の最高裁判決は、業務上の傷病が原因であるにもかかわらず、休業が3年を超えた場合には金銭の支払いと引き換えに解雇することを認めるもので、労災職業病により長期にわたり療養・休業中の労働者を容易に解雇する道を拓くものである。
 司法による労働基準法第19条の空文化であり、同時に憲法第27条が定める労働者の働く権利を葬るものであって、断じて許すことはできない。
 差戻し控訴審における事実審理では、広範な人々の支援の下に、専修大学の10年以上にわたる異常と言うべき不当な仕打ちを改めて白日の下にさらし、本件解雇の違法・不当を明らかにする決意である。

2015年5月28日

日本新聞労働組合連合
新聞通信合同ユニオン
弁護団弁護士 今泉義竜/小木和男/菅俊治



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