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事件紹介

原発自死事件判決に対する弁護団声明(担当弁護士 笹山尚人、山添拓、長谷川悠美

平成26年7月26日、福島地裁は、福島第一原発過酷事故による避難者の自死について、事故と自死との間に因果関係があることを認め、東電に対し約4900万円の賠償を命じる判決を下しました。

 原告の渡辺幹夫さんらの弁護団は、福島原発被害弁護団が担当しています。当事務所からは、
笹山尚人、山添拓、長谷川悠美が弁護団に参加しています。

以下、弁護団声明を添付しますので、それをもって事件の紹介にかえます。

原発自死事件判決に対する弁護団声明

平成26年8月26日
福島原発被害弁護団
共同代表 小野寺 利孝
同    広田 次男

平成26年8月26日、福島地方裁判所は、東京電力株式会社に対し、福島第一原子力発電所における事故(以下「原発事故」)による自死被害者の遺族へ損害賠償を支払うよう命じる判決(以下「本判決」)を言い渡しました。
本判決について、当弁護団は、以下のとおり声明を発表いたします。


1 本判決の事案の概要
 2011年3月11日に発生した原発事故は、多くの人々に深刻にして多様な被害をもたらしました。
 その究極の被害とも言えるのが、事故による耐えがたい精神的苦痛を原因とする避難者の自殺、「原発自死」であり、本件事案もその一つです。
 自然豊かな福島県伊達郡川俣町山木屋に暮らしていた農家の主婦渡辺はま子さんは、夫、子供らの家族、地域の人々、豊かな自然に囲まれておだやかで幸せな生活を過ごしていました。しかし、原発事故により、はま子さんは、自宅と大切に育てた菜園を奪われ、夫と一緒に勤めていた生業を奪われ、家族一緒の暮らしを奪われ、地域のふれあいを奪われました。はま子さんは、ふるさと山木屋での豊かな生が一気に喪失していくことに耐え切れず、2011年7月1日、山木屋の自宅に一時帰宅中、自ら命を絶ちました。
 はま子さんの遺族は、平成24年5月18日、東京電力株式会社に対し、はま子さんが亡くなったことについての慰謝料等の損害賠償を請求するため、福島地方裁判所に提訴し、2年3ヶ月後余の審理を経て、本日の判決と至りました。

2 本判決の内容と意義
 本判決では、本件事故により山木屋での生活をし得なかったことによるストレスをはじめ強い、ストレス要因となる数々の出来事を、予期なく遭遇することとなった極めて過酷な経験がはま子に耐えがたい精神的負担を強いて、うつ状態にし、自死に至らしめたものであるとして、原発事故とはま子さんの自死との間の法的な因果関係を認めました。
 原発事故によって、はま子さんのみならず、避難を余儀なくされた多くの地域住民が、大きな精神的苦痛を受けることを本判決は正面から認めており、原発事故による、広範かつ継続的な精神的被害を認めた初の司法判断であるとして、極めて大きな意義を有するものです。
 また、本判決は、はま子さんのストレスに対する耐性の弱さを考慮して、損害額の2割を減額するという判断(心因性の減額)を下しました。東京電力の起こした原発事故の重大性を考えれば、本来は減額が認められるべきではありませんが、従来の自死に関する裁判例との比較からすれば、減額は小さく、原発事故による強いストレスを重視しており、意義のある判断と評価されます。

3 さいごに
 東京電力は、本日の判決を真摯に受け止め、控訴することなく、原発事故の加害者として、原告らはま子さんの遺族に対して、心から謝罪し、判決に従って、償いを直ちに行なうべきです。
 本判決は、原発事故による自死に対する最初の司法判断として、泣き寝入りを強いられている被害者の権利救済の道を大きく開いたものである。東京電力においては、この判決を機にこれら被害者救済に真剣に取り組むことを求めるものである。

以上

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