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内縁関係でも権利を主張できますか

内縁関係でも権利を主張できますか

 私は、夫と内縁関係にありましたが、先日、夫と言い合いとなり、「出ていけ」と言われて自宅を追い出されました。このような一方的な内縁の解消は許されるのでしょうか?  また、私が追い出された自宅は夫名義となっていますが、同居後に2人で購入したものです。私は自宅について何か権利を主張できますか?

回答

回答者: 弁護士 岸 朋弘


■ 内縁も法的保護を受ける
 日本の民法は、婚姻の届出をした法律上の夫婦についてのみ規定し、婚姻届を出していない事実上婚姻関係、すなわち内縁(事実婚)については何ら定めていません。
しかし、判例は「いわゆる内縁は、・・・男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない」と判断し、内縁であっても一定の法的保護を受けるものとしています。
 内縁が成立しているといえるためには、一般的には、男女の当事者が婚姻の意思をもって相当期間にわたって同居して共同生活をしていることが必要だとされています。もっとも、実際にはケース・バイ・ケースで、同居期間が短期間であったり、同居まではしていないものの互いの居所を行き来しているような場合にも内縁の成立が認められることもあります。
 内縁に当たれば、法律上の夫婦の規定が一部準用され、夫婦は、相互扶助義務、婚姻費用の分担義務、貞操義務等を負うことになります。

■ 内縁の不当破棄は違法になる
 内縁は、原則として共同生活をしていることが要件となるため、夫婦の同意がない場合であっても、一方的に自宅を追い出されたり出て行かれたりして別居となれば、その時点で内縁関係は解消すると考えられます。
 一方で、内縁は法的保護を受けるので、正当な理由なく、内縁を不当破棄された当事者は、もう一方の当事者に対して、権利侵害に基づく損害賠償請求をすることができます。

■ 内縁の解消の場合にも財産分与を請求できます
 内縁を解消する場合も財産分与の請求ができると考えられています(民法768条類推適用)。例えば、夫婦が内縁成立後に貯めた預貯金、購入した自宅がある場合、それらは内縁の解消により財産分与の対象になります。
 財産分与の内容は、当事者同士が話合いで決めますが、話合いでまとまらない場合には家庭裁判所に調停を申し立てます。調停の申立ては、内縁・事実婚の解消から2年以内に行わなければなりませんので注意が必要です。

(2021年1月記)

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