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スマホの“ながら”運転で事故!
私にどのような責任が生じますか?

スマホの“ながら”運転で事故! 私にどのような責任が生じますか?

先月、スマートフオンをいじりながら自転車を運転していたところ、反対側から歩いてきたおばあさんとぶつかってしまいました。おばあさんは、転倒して大腿骨を骨折し、今も入院中です。私には、どのような責任が生じるのでしょうか。

回答

回答者: 弁護士 平井 哲史


 まず考えられるのは、損害賠償です。賠償の内容としては、①入院や通院に伴う治療買・交通費などの実費、②仕事を休んだ場合の休業補償(他人のために家事を行う専業主婦の場合にも認められます)、③精神的、肉体的な苦痛に対する慰謝料です。また、後遺症が残った場合には、①〜③に加えて、④逸失利益(労働能力が低下することに伴う将来の減収分の補償)⑤後遺症が残ったことに対する慰謝料も賠償しなければなりません。軽い打撲程度であれば、損害賠償の額はそれほど大きくなりませんが、後遺症が残るような重い怪我をさせた場合、賠償額は、かなりな高額になります(死亡したり、高度の後遺症が残った場合には、数千万円になるのが通常です)。
 自転車事故の場合にも、保険が使える場合があります。自転車につけられる保険としては、「TSマーク付帯保険」があります(但し、被害者に高度の後遺障害が残った場合にのみ使うことができ、補償金額にも一定の上限があります)。また、火災保険や傷害保険の特約で、「個人賠償責任保険」がつけられている場合があります。従って、加入している火災保険等があれば、保険会社に連絡して、「個人賠償責任保険」がつけられているかを確認することが必要です。使える保険がない場合には、自己負担で賠償金を支払わなければなりません。


■ 罰金や懲役刑も
 また、損害賠償とは別に、業務上過失致傷罪、重過失致傷罪などの刑事責任を問われることがあります。怪我の程度が軽ければ、起訴猶予(特に処罰をしない)で済むこともありますが、ある程度重い怪我をさせた場合には、罰金が課されるのが通常です。また、死亡させたり、高度の後遺症が残った場合には、懲役刑が科されることもないとは言えません。あなたの場合、スマートフォンをいじりながら自転車を運転し、被害者の怪我も骨折を伴い入院させているのですから、罰金は免れないと考えるべきでしょう。

 「自転車だから大した責任を間われることはない」などと考えるのは誤りです。万が一、相手に大けがさせた場合には、極めて高額の賠償金を自己負担で支払わなければならなくなったり、刑事処分も受けることになります。“ながら運転”は避け、平素から安全運転を心がけて下さい。

(2014年6月記)

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