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事件紹介

JALマタハラ訴訟、勝利和解成立(今野久子弁護士、長谷川悠美弁護士)

今野久子弁護士長谷川悠美弁護士が弁護団に参加するJALマタハラ訴訟で、6月28日、産前地上勤務制度を前進させることなどを内容とする勝利和解が成立しました。
以下に労働組合、支える会、弁護団の声明を掲載します。

JAL CAマタニティハラスメント訴訟
産前地上勤務制度を前進させた勝利的和解に関する声明文


    1 本日、日本航空株式会社(JAL)とJALの現役客室乗務員である神野知子(原 告)、原告が所属する日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)は、原告がJAL を被告として提訴したJAL・CAマタニティハラスメント訴訟(本件訴訟)につい て和解しました。

    2 本件訴訟は、原告が妊娠し乗務ができなくなったのに際し、軽易業務への転換請求 として、地上勤務を申し出たところ、JALが拒否して無給休職を発令した措置(本 件休職命令)は、労基法65条3項、均等法9条3項に違反して無効である等として 本件休職命令の無効確認、未払賃金の支払い、慰謝料を請求した事件です。
    JALにおいては、妊娠が確認された客室乗務員は乗務資格が停止され、航空機に 乗務することができなくなります。JALには、「女子客室乗務員の産前休職制度 ならびに産前地上勤務制度に関する規程」(産前地上勤務制度)がありますが、 2008年の制度改悪によって、妊娠した客室乗務員が希望しても「会社が認め る場合」(会社許可要件)でなければ産前地上勤務に就けないこととされました。 この改定によって、実際に多くの客室乗務員が産前地上勤務に就くことができず、 意に反した無給休職(産前休職)を余儀なくされました。産前休職は無給となる だけではありません。健康であってもアルバイトさえ禁止され、勤続年数も算定 されず(昇給、昇格、退職金に影響する)、社宅や寮に入居していれば退去を強 制されることになります(本件訴訟提起後、社宅・寮からの退去制度については 撤廃されました)。

    3 原告側は、本件訴訟において、1改定された産前地上勤務制度に加えられた会 社許可要件は、労基法65条によって妊娠した女性労働者が与えられた軽易業務 転換請求権を制限するものであって違法無効である、2妊娠等を理由とする不利 益取扱いを禁止した均等法9条3項に違反して違法無効である等と主張したう えで、徹底した実態調査を行い、意に反した産前休職の客室乗務員に対する大き な不利益性、JALにおいて希望者に産前地上勤務に就かせることは極めて容易 であったことなどを明らかにしました。

    4 JALは、本件訴訟の係属中に、産前地上勤務制度の運用を一部改善しました。 2017年3月には、今後、原則として希望者全員を産前地上勤務に就ける運用 を開始すると発表し、4月には2018年度から短時間勤務と普通勤務を客室乗 務員が選択できるようにすることを検討するとCCUに告げました。本件訴訟に おいて、JALの産前地上勤務制度とその運用の不利益性と違法性が明らかにさ れるなか、JALはその制度運用を改善せざるを得なくなったのです。

    5 以上を受けて、JAL、原告、CCU(利害関係人として参加)は、本日、以 下の内容の和解を締結しました(一部守秘条項があります)。

    1 被告及び利害関係人(CCU)は、被告が、利害関係人に対し、次の5項目 に基づいた対応を取ることを本和解の席上で表明し、利害関係人が、これを了 承したことを確認する。

    (1)被告は、被告会社の事業規模、人員数、産前地上勤務の希望者に著しい変 化がない限り、平成29年度以降において、産前地上勤務を申請した女子客室乗務員(以下「申請者」という。)の全員について同勤務が可能であると考え ていることから、産前地上勤務制度の運用に当たり、平成29年度以降、原則 として、申請者全員を産前地上勤務に就ける運用を行うこと。

    (2)被告は、やむを得ない理由により、申請者を産前地上勤務に就けさせるこ とができないと判断した場合、平成29年度以降、当該申請者に対し、その事 情について説明を行うこと。

    (3)被告は、被告会社の事業規模、人員数、産前地上勤務の希望者に著しい変 化がない限り、平成30年10月1日以降において、希望する勤務形態に即し た産前地上勤務に就けることが可能であると考えていることから、産前地上勤 務制度の運用に当たり、早ければ平成30年4月1、遅くとも同年10月1日 以降、申請者に勤務形態の希望を受け付け、原則として、その希望に即した勤 務形態による産前地上勤務に就ける運用を行うこと。

    (4)被告は、やむを得ない理由により、上記(3)の申請者をその希望する産前 地上勤務に就けさせることができないと判断した場合、当該申請者に対し、そ の事情について説明を行うこと。

    (5)被告は、平成30年度以降、利害関係人に対し、前年度の産前地上勤務の 配置先及び配置人数並びに当該年度の予定配置先及び予定配置人数概数を開 示すること。

    2 被告及び利害関係人は、利害関係人が、被告に対し、産前地上勤務制度の円 滑な運用及び問題点の解決を求める団体交渉申入れをした場合や、上記1(2) 及び(4)に係る被告による説明を承服しない申請者からの申出を踏まえた団 体交渉申入れをした場合において、これらが団体交渉の協議事項となることを 確認する。

    6 原告は理不尽な不利益を受けた自らの救済だけでなく、今後同じような被害を 受ける客室乗務員がいなくなるようにと制度・運用全体の改善を求めてきました。 CCUも原告とともに本件訴訟を闘い、職場の声としてJALに対して制度・運 用の改善を訴え続けました。上記の和解はその原告とCCUの目的をほぼ実現す るものです。JALだけでなく日本の航空会社においては、妊娠すれば無給休職 ということが当然のように行われており、客室乗務員の「妊娠と仕事の両立」を 可能とする本件和解が成立したことは、業界全体における妊産婦の権利向上につ ながるものと確信します。
      本件和解は、労働組合が労働者とともにマタニティハラスメントを是正させる ことができることを示しました。私達は、産前地上勤務制度のさらなる改善をは じめとして、今後も客室乗務員の働く権利を擁護し、長く働き続けられる条件を 求めて活動を続けていく所存です。


以上

2017年6月28日

日本航空キャビンクルーユニオン
未来の飛んでるママを支える会
JAL CAマタニティハラスメント訴訟弁護団

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