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2016年のニュース

事件紹介

今泉義竜弁護士、小部正治弁護士が担当する築地公務執行妨害でっち上げ国賠事件(東京地裁民事10部・松村徹裁判長)で、2016年3月18日、東京地裁は東京都に対し原告へ240万円の賠償を命じる判決を出しました。

判決文PDF

1  事件の概要
被害者は新宿区で鮨店を経営する二本松進さん。路上駐車の取り締まりをしようとした二人の警官と違反の有無を巡って言い争いになったところ、警察官は突如「暴行!暴行!」と叫びだして現行犯逮捕されたという事件です。
あとから判明した逮捕容疑は、「婦人警官の胸を7〜8回突く等の暴行を加え,車両のドアを閉める際に婦人警官の右手にドアを強くぶつける等して,職務執行を妨害し,暴行により全治10日間の傷害を負わせた」という進さんにとって全く身に覚えのないものでした。
二本松さんは19日間にわたって勾留・取調べを受けた上、「自白しないと,いつまでも勾留され,店が潰れる」「起訴されて長いこと刑務所に入る」「回数を少なくしてもよいから,自白したら」等と取調官、検事から自白を強要、虚偽の自白調書へ署名をさせられ、起訴猶予の不起訴処分となりました。

2  6年以上に及ぶ裁判
二本松さんは、2009年10月、当初本人訴訟として国、東京都を相手に国賠訴訟を提起、その後、国民救援会を通じて当事務所に依頼があり、小部弁護士と私が担当することとなりました。
捜査記録の開示をめぐっての攻防が長期間かかりましたが、最終的には裁判所は最高裁判例の枠組みの範囲で勾留請求時の捜査記録に限って文書提出命令をし、一定の捜査資料が開示されました。
警察官二名に対する証人尋問では、弁護団は、供述が相互に矛盾している点、また暴行の態様など重要な事実について捜査段階から供述の変遷を繰り返している点を徹底的に追及しました。
しかし、その後裁判長及び右陪席が交代し、新たな裁判長は目撃証人を一切採用しないままに訴訟を終結しようとする訴訟指揮をしたことから、忌避を申し立てました。忌避は却下されたものの、改めて再開された弁論期日において弁護団は民訴法249条3項を根拠に、進さんと月恵さん、二人の警察官の再度の取り調べを要求したところ、裁判所は原告二人についてだけ職権で再度の証人尋問を実施しました。忌避申立てをきっかけに、慎重な審理をしようとする裁判所の姿勢の変化を感じました。

3 判決
とはいえ、結局目撃証人を一人も採用しなかったという訴訟指揮から、弁護団は99.9%敗訴判決を覚悟していました。
しかし、ふたを開けてみると、判決は、「暴行のいずれについても、明確さに欠ける部分のほか、看過することのできない変遷または齟齬があったり、仮にその証拠関係のとおりであったとすればそれ自体が不自然であったり疑問が生じる部分を多く含んでいる」などとして、暴行があったとする警察官らの証言の信用性を否定、違法な逮捕であったとして東京都に対し損害賠償を命じました。

4 今後
警察による不当な取締りに多くの人が泣き寝入りを強いられている中、警察官の不正を断罪した裁判所の判断は大きいと思います。警察権力の濫用は、冤罪の温床です。こうしたことは許されないと声を上げた二本松さん、そしてそれを支え続けた国民救援会のみなさんには、心から敬意を表したいと思います。


以 上

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