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2013年のニュース

事件紹介

国公法弾圧2事件に最高裁が判決

最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は2012年12月7日、国公法弾圧2事件(国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件)に対し、判決を言い渡しました。両事件は休日に職場から離れた地域でビラ配りをしたことが「国公法(国家公務員法)違反」だとして逮捕された事件です。  
以下に、弁護団の声明を掲示して、紹介とします。  
当事務所の担当弁護士は、加藤健次(弁護団事務局長)、小部正治、笹山尚人、坂本雅弥、岸松江です。

声  明

最高裁判所第二小法廷(千葉勝美裁判長)は,本日,国公法弾圧堀越事件,世田谷国公法弾圧事件について,それぞれ上告を棄却する判決を言い渡した。これにより,堀越明男氏の無罪と宇治橋眞一氏の有罪(罰金10万円)が確定した。

  • われわれは,最高裁に対し,2事件を大法廷に回付し,猿払最高裁判決を変更して違憲無罪判決を下すよう求めてきた。  
    1974年の猿払最高裁判決は,刑罰をもって国家公務員の政治活動を一律全面的に禁止することを合憲とし,公安警察による尾行・盗撮などの違法行為に口実を与えてきた。猿払最高裁判決は,基本的人権を軽視するものとして,当時から,学界はもとより社会的にも厳しい批判を受け,その変更を迫られていた。また,猿払最高裁判決は,国際的な人権水準に照らして,根本的な批判を免れないものであった。  
    本件2事件は,休日に,私服で,職場から離れた場所で,職務とは関わりのない態様でなされた政党機関紙等の配布行為が起訴された事案である。本件配布行為は,国公法・人事院規則の保護法益とされる「公務の中立的運営とこれに対する国民の信頼」を害することのない行為である。このような行為まで含めて公務員の政治的行為を罰則で禁止する国公法・人事院規則は,公務員の表現の自由に対する必要最小限の規制を超えるものであって憲法21条,31条に違反する。  
    最高裁に求められていたのは,猿払最高裁判決を変更して,国公法・人事院規則に対し違憲の判断を示すことであった。  
    また,争点を同じくする2事件について,東京高裁では,堀越事件(第5刑事部・中山隆夫裁判長)と世田谷事件(第6刑事部・出田孝一裁判長)が,ともに猿払最高裁判決を先例としつつ。まったく相異なる判決を言い渡した。この意味からも,最高裁が大法廷で審理を行い,統一的な見解を示すことが求められていた。  
    ところが,最高裁は,大法廷での審理を行わないまま結論を下した。これは,猿払最高裁判決の変更と国公法・人事院規則の違憲判断という,最高裁に求められた役割を放棄したものとして断じて承服できない。
  • 堀越事件判決は「処罰の対, 象となる『政治的行為』とは,公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれを実質的認められるものに限る」としたうえで,「本件配布行為は,勤務時間外である休日に,国ないし職場の施設を利用せずに,公務員としての地位を利用することなく行われたものである上,公務員により組織される団体の活動としての性格もなく,公務員であることを明らかにすることなく,無言で郵便受けに文書を配布したにとどまるものであって,公務員による行為と認識し得る態様でもなかったものであ」り,上記政治的行為にあたらないとして無罪とした。  
    判決が無罪の判断をしたのは,国公法・人事院規則を合憲とし,刑罰をもって国家公務員の政治的行為を一律全面的に禁止しても合理的関連性を失うものではないとした猿払最高裁判決を実質的に変更したものにほかならない。  
    この間,最高裁は,政治的なビラ配布に対する刑事弾圧事件に対し,相次いで不当な有罪判決を言い渡してきた。堀越氏を無罪としたことは,最高裁がもはや表現の自由や政治活動に対して,猿払最高裁判決で示された硬直的な判断を維持しえなくなったことを示すものである。  
    にもかかわらず,同じ行為をした宇治橋氏を有罪にしたことは極めて不当であり,この判決を機に,最高裁が,基本的人権を保障する立場に立つことが求められている。 堀越事件は,警視庁公安部が大量の人員と機材をつぎ込み,尾行・盗撮等の違法な活動を繰り広げた結果作り上げた事件であった。堀越事件が無罪となったことにより,国公法・人事院規則を悪用した公安警察の策動は厳しく断罪された。公安警察が特定の政治的意図に基づく違法な活動を直ちに中止することを強く求めるものである。
  • 世田谷事件については,弁論も開かないまま,東京高裁の不当判決に対する宇治橋氏の上告を棄却した。  
    堀越事件も世田谷事件も,職務とまったく関連のない,外観からは配布者が国家公務員であるとは判断できない行為という点ではまったく共通している。 判決が示した公務員の職務の遂行のおそれが実質的に認められるかどうかという基準に照らせば,須藤反対意見が指摘するように,宇治橋氏の行為も罰することができないとするのが常識的な判断である。  
    にもかかわらず,最高裁が世田谷事件について有罪の結論を維持したことに対し,強く抗議する。
  • 判決が,国公法・人事院規則が定める政治的行為の一律全面的な禁止規定の形式的な適用を否定したことは,立法府に対して国公法・人事院規則の見直しを求めたものと理解することができる。  
    昨今,大阪市職員の政治的行為禁止条例の制定や地方公務員法「改正」案の提出など,地方公務員の政治的行為を国家公務員並みに一律全面的に禁止しようとする動きが強まっている。堀越氏を無罪とした判決によって,こうした策動が憲法に違反することがいっそう明確になった。

われわれは,この判決を機に,憲法違反の国家公務員法と人事院規則の改廃を実現するとともに,公務員の市民的政治的自由の確立のためにいっそう努力していく。  最後に,この間,2つの裁判を支えていただいた多くの皆さんに心から感謝の意を表するとともに,表現の自由,政治活動の自由の確立のために引き続きともにたたかうことを呼びかけるものである。

2012年12月7日
国公法弾圧事件弁護団
(堀越事件・世田谷事件弁護団)

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