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事件紹介

建設アスベスト訴訟「国の責任認める」判決

建設現場で建材に含まれたアスベスト(石綿)にさらされ、肺がんや中皮腫など、深刻な健康被害を受けた首都圏の建設労働者や遺族337人が国と建材メーカー42社を相手に賠償を求めた「首都圏建設アスベスト訴訟」の判決が2012年12月5日、東京地裁で言い渡されました。
始関裁判長は、国が1972年頃にはアスベストが重篤な疾患を発症させる危険性を認識しており、1981年までに防じんマスクの着用や警告表示の義務付けなどの新たな規制措置をとっていればそれ以降の被害拡大を相当程度防ぐことができたと国の規制権限不行使を断罪し、原告170人(患者単位158人)に賠償を命じました。
一方、「一人親方」や「零細事業主」は労働安全衛生法の保護対象外をして請求を棄却。また、建材メーカーの製造責任とメーカー間の共同不法行為は認めませんでした。
以下に、弁護団などによる声明を掲示して、紹介とします。
当事務所の担当弁護士は水口洋介、岸松江、中川真です。

声  明

2012(平成24)年12月5日
首都圏建設アスベスト訴訟原告団
首都圏建設アスベスト訴訟弁護団
首都圏建設アスベスト訴訟統一本部

  • 本日、東京地方裁判所民事第41部(始関正光裁判長)は、首都圏建設アスベスト(東京)訴訟(原告患者数308名)において、本年5月25日の横浜地裁の不当判決を乗り越え、国の責任を認め、原告のうち170名(患者単位158名)に対し総額10億6394万円の支払いを命じる原告勝訴の判決を言い渡した。
  • 本判決は、1972(昭和47)年頃にはアスベストが中皮腫等の重篤な疾病を発症させる危険性があるとの知見が確立しており、労働大臣は、遅くとも1981(昭和56)年1月の時点で、防じんマスクの着用や適切な警告表示を義務付けるなど、新たな規制措置を執るべきであり、この時点において省令制定権限等が適切に行使されていれば、それ以降の建設作業労働者の健康被害拡大を相当程度防ぐことができたと判示し、その不行使は、安衛法の趣旨、目的に照らし、著しく不合理であり、国賠法1条1項の適用上違法であると認定した。
    しかし他方で本判決は、「一人親方」「零細事業主」については労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を拒否した。これは建設現場で常態化している、労働者と何ら変わりのない「一人親方」「零細事業主」の実態から目をそらす不当な判断と言わざるをえない。
    また、後次的責任を理由に国の責任を3分の1に限定したことや労働者の期間に応じて、損害額を限定した点は、深刻な被害と責任構造を直視しなかったものであり、不当である。

    さらに、本判決は、肺がんに罹患した原告患者の損害額を、喫煙を理由に10%減額した。しかし、アスベストの危険性について特別教育も十分な情報提供もなされていなかったのであるから、喫煙を理由に損害額を減額するのは不当である。
  • また、被告メーカー間の共同不法行為の成立を認めず、各メーカーが製造販売したアスベスト建材と各原告の発症との因果関係が不明であるとして、被告メーカーの責任を免罪する不当な判断を下した。これは、原告ら建設作業従事者がアスベスト粉じんに累積的に曝露し、その結果アスベスト関連疾患に罹患した原因が、長年にわたる被告メーカーらによるアスベスト建材の製造・販売にあるといった本件の本質を見誤ったものである。また、被告メーカーらがアスベストの危険性を認識しながら、利益追求のため共同して警告表示義務をも怠ってアスベスト建材の製造・販売を継続した悪質な注意義務違反についても免責するものであり、極めて不当な判決である。
    もっとも、本判決も、アスベスト建材製造メーカー群の製造した建材に含まれるアスベストによって各原告が発病したことを明確に認めるとともに、アスベスト建材製造メーカーが警告義務を怠ったことは認めており、その意味で被告らの責任が否定されたわけではない。
  • このように本判決は、建材メーカーの共同不法行為責任を否定したものの、アスベスト被害を発生させた国の責任を厳しく断罪しており、不十分な点はあるが、全国(北海道、京都、大阪、福岡)の建設アスベスト訴訟にも大きな励ましとなるとともに、じん肺・アスベスト被害根絶の闘いにとって極めて大きな意義がある。
    アスベスト関連疾患による労災認定者数は毎年1000名を超え、建設業が過半数を占めている。わが国は約1000万tのアスベストを輸入したが、そのうち70%以上が建材に使用されてきたため、今後も建設作業員のなかから重篤なアスベスト被害者が多数発生することが確実なものとして予測されている。アスベスト関連疾患は、極めて予後が悪く、原告308名(患者単位)の内死亡者の割合は全体の6割以上に及んでいる。原告らの「生命あるうちに解決を」の願いは切実であり、国及び被告メーカーらは、本判決を真摯に受け止め、本件を早期に解決するとともに、全ての建設アスベスト被害者が早期に救済されるよう、「建設アスベスト被害者補償基金」を創設すべきである。
    また、国の責任が明確となった以上、石綿救済法を抜本的に改正し、公害健康被害補償法による補償と同等にするなど救済内容を充実させるとともに、「石綿対策基本法」を制定し、総合的なアスベスト対策を推進すべきである。

私達は、アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため、全国の被災者、労働者、市民と連帯して、今後も奮闘する決意である。

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