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2012年のニュース

事件紹介

独立行政法人・国立大学法人での国家公務員給与臨時特例平均7.8%に準じた賃下げに対し、不払い賃金請求訴訟:全大教および加盟2単組が東京地裁などに同時提訴

全国大学高専教職員組合及び高専職員が団体交渉関係にある独立行政法人国立高等専門学校機構に対し、また福岡教育大学教職員組合、高エネルギー加速器研究機構職員組合(いずれも全大教加盟)が各当該法人に対し、国家公務員平均7.8%に準じて6月あるいは7月に強行された賃下げについて、11月27日に不払い賃金請求訴訟を、それぞれ所在地の地裁(東京地方裁判所、福岡地方裁判所、茨城地方裁判所土浦支部)に提訴しました。原告は、高専機構248名、福岡教育大4名、高エネ研6名の教職員です。

*全国大学高専教職員組合(全大教)とは

国公立大学・大学共同利用機関・国立高専110の加盟組合。組合員数約25,000人。
代表者:中央執行委員長 中嶋哲彦(名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授)
URL: http://zendaikyo.or.jp/

大学、高専、大学共同利用機関はいずれも、教育と研究を担う高等教育機関であり、優秀な人材を擁し良質な教育研究を実施することが公共の福祉にかなうことです。賃下げを実施することは国民の共通の財産である高等教育機関の価値の毀損につながります。
全国的には、全大教調べの63国立大学法人において9月までにすべての法人で「臨時賃下げ」が実施され、うち、組合の合意を得ない強行実施が79%(49法人)、また国家公務員と全く同率で緩和措置さえ無い実施が73%(45法人)に達しています。
この賃下げは、「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(2012年2月29日成立)に準じるとして、政府の強い要請の下で各法人が、組合の反対にもかかわらず強行したものです。これは、労働契約法第9条、第10条違反に当たります。
当事務所で担当しているのは高専機構に対する高専職員及び全大教の提訴についてです。高専機構は、全大教に対して、賃金の10%近くもの大幅な減額を内容とする提案をしました。そして、全大教との間の団体交渉では、自らの提案について必要にして十分な根拠も示さず、検討の材料になるような財務資料もほとんど示すことのないまま、全大教が引き続き交渉を求めたのにそれを断って、わずか1ヶ月にも満たない短期間で一方的に交渉を打ち切り、平成24年7月からの賃下げを強行しました。

原告団長の場合、6月と7月の賃金の差額は,47,616円です。原告248名の7月分の差額の合計金額は、7,137,923円となります。

高専職員は、この賃下げの不当性を確認し、不払い賃金の支払いを求めるため、高専機構に対し7月分の差額賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴しています。同時に、全大教も、不誠実な団体交渉によって組合の団結権、団交権の侵害をされたということで220万円の賠償金の支払いを請求しています。

全大教加盟の教職員組合では、今回の同時提訴分に加え、裁判を準備あるいは検討している組合が多数あり、今後第2次の提訴に踏み切る予定です。

なお当事務所で本件を担当するのは、小部正治、笹山尚人、今泉義竜です。

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