一方的な年俸額の変更は認められない

私の会社は、これまで年功賃金でしたが就業規則が変わって成果主義の年俸制となり、私の成果が低いとして翌年の年俸額を下げました。年俸額を下げられても仕方がないのでしょうか。

回答

回答者: 弁護士 平井 康太

■就業規則の不利益変更には制限がある
 これまでの年功賃金を成果主義の年俸制とすることは就業規則の不利益変更に当たる場合が多いです。

 就業規則の不利益変更は、労働契約法上、変更が合理的であり、その内容が労働者に周知されている場合でない限り、許されません。

 今回の就業規則の変更の必要性が乏しく、労働者に大きな不利益を与えるような内容であれば、その変更は合理的とはいえず、賃金の引き下げは許されない可能性が高いでしょう。

■賃金減額も制限がある
 仮に、就業規則の変更ができる場合でも、裁判例は、会社が一方的に年俸額を決定するためには、「年俸額決定のための成果・業績評価基準、年俸額決定手続、減額の限界の有無、不服申立手続等が制度化されて就業規則等に明示され、かつ、その内容が公正な場合」であることを求めています。

 評価基準などの定めがなければ会社は年俸額の一方的な決定はできません。

 また、会社の成果に関する判断が事実に基づかない場合や、成果の程度に比べて労働者の不利益が大きい場合には賃金減額が無効となることもあります。

 まずは成果に関する証拠を確保しておくことが重要です。

(2021年10月記)

「年俸額」に関する取扱事件

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