行政事件とは?
行政事件とは、国や地方公共団体を相手とする行政上の法律関係を巡る事件のことをいい、行政の違法・不当な行いを正して、市民の権利を守るためにとても重要な事件といえます。行政事件は、大きく分けると次の4つの種類があります。
1 行政上の不服申立て(審査請求)
国や地方公共団体による行政処分が行われた際、その処分を争うときに別の行政機関に不服申立てを行うことができる場合があります。これを審査請求といいますが、審査請求では、違法な処分だけでなく不当な処分をも正すことができます。また裁判よりも簡易かつ迅速に解決することができる点でもメリットがあります。
たとえば、労働基準監督署長が行う労災保険給付にかんする処分に対しては、労災保険審査官(都道府県の労働局)に審査請求をすることができます。
2 行政事件訴訟
行政処分の違法性や公法上の権利関係を争う場合には、裁判を提起することもできます。こうした裁判を行政事件訴訟といい、代表的なものとして行政処分の取消しを求める取消訴訟があります。
たとえば、税金関係では、税務署長から更正処分を受けたときにその処分を争う更正処分取消訴訟、土地区画整理関係では仮換地指定処分の取消訴訟、市街地再開発事業に関して権利変換計画の認可処分の取消訴訟、建築確認処分取消訴訟、外国人の退去強制処分に関する取消訴訟など、その種類は多種多様です。
3 国家賠償請求訴訟
国や地方公共団体の公務員が、職務を行う際に不法行為を行った場合には、被害者は損害賠償請求として国家賠償請求訴訟を提起することができます。
たとえば、税務署の職員から違法な税務調査を受けたことに対する損害賠償請求訴訟や、刑務所の刑務官による違法行為に対する損害賠償請求訴訟、国家公務員の同僚や上司からのハラスメント被害に関する損害賠償請求訴訟などがあります。
また、国家賠償請求は、道路や河川などの公の営造物の設置・管理の問題が原因で損害が発生した場合にも訴訟を提起することができます。
4 住民訴訟
最後に住民訴訟があります。これは、地方公共団体の違法な財務会計行為によって、地方公共団体に損害が生じまたは生じるおそれがある場合に、その違法行為を正すためにその地方の住民に裁判を提起する権利を認めたものです。住民訴訟を提起するには、まず監査委員に対する監査請求を行う必要があります。
たとえば、地方自治体がその所有する財産を著しく廉価で民間企業に売却し、地方自治体に損害が生じまたそのおそれがある場合に、監査委員への監査請求を行い、監査請求が認められなかった場合などに、売却の差止めや適正価格との差額を首長に賠償させることなどを求めて住民訴訟を起こすことができます。
行政事件を通じて
行政事件を活用することは、国や地方公共団体の行為から市民の権利を守るためにとても重要です。また、行政事件を通じて違法・不当な行政活動を正し、市民のための行政を実現させるためにも非常に重要といえます。
行政にまつわる法律関係でお悩みの際は、ぜひご相談ください。
執筆者:弁護士 本間 耕三

